幸せよりも欲しいものは何ですか?

結晶

「春樹~私ね…。」

私は春樹の上に乗っかり、背中を押しながら言葉を探した。


『だから何よっ!!』


「出来たさ。」


『は?』



私は平然を装って話し始めた。



「体に異変感じたからこの前病院行ったの。」


『は?何の話?』



私はマッサージの指を休める事なく話した。



「私の中にね、赤ちゃんがいるんだって。」


『…は?何言ってんの?』



春樹は体をゆっくり起こし私を見ようとして、マッサージが中断された。



「冗談なんか言ってないからね。」


『…。』



私はまた春樹の背に回り、肩を揉みながら話した。



「私産むつもり。」


『……。』



他何を言っていいのか分からなくなる。



「そんだけ…。報告でした。」


『…そっか…そぅ…体調…変だったのか?』


「うん、ちょっとね。」


『…今は?』


「今は…落ち着いてるから大丈夫。」



体を心配してくれた事は、私に大きな安心を与えてくれた。


もっとパニックになるのかと思った。



そして春樹は黙って、テーブルに置かれてた灰皿を洗いにキッチンに立つ。



困っているのは明らか。

でも、そんな時に優しさに


救われた。






ねぇ


見えてますか?


聞こえてますか?




あなたのパパは




ちょっと冷たくて




凄く優しいパパだよ。




大きくなったら



友達に自慢しなさいね。

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