幸せよりも欲しいものは何ですか?

怒りと哀しみ

もう夜遅かったから、家に着いてすぐ寝る支度を始めた。


やっぱり春樹は私の体を求める。


「もう前で終わりにするって言ったでしょ?」


私は春樹の手を抑えながら、説得してみた。



もちろん説得なんか聞いてくれないと思ったけど。



春樹は右手で、私の口を塞ぐように、両頬を掴んできた。


「…。」


頬が 痛む。

こんな時まで、怖い顔をした春樹がカッコイイだなんて思う私は、


狂ってると思った。


『何、そんなに俺が嫌か? お前俺の家に来て拒否れるとでも思ってんのか?』




拒む私に苛立ちを感じてるようだ。

もう、怒ってる春樹に言葉は通じない。



体で抵抗しても、春樹に効くわけない。




抵抗しながらも、私は自分の気持ちに疑問を抱いた。




本当に拒みたいのなら、逃げようと思えば逃げれた。
帰る事だって出来た。



でも



春樹と一緒にいたいとも思った。



でも


一緒にいたって、幸せな未来は多分無い。

いつかこの人は、あの大切な女性の所へ行くだろう。



私と春樹は、一緒にいたって、幸せにはなれないんだ。



お互いがお互いを傷つけるだけの関係。




行為の真っ最中、


私は


いつの間にか



泣き出していた。

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