CHERRY

中学校生活1日目

入学式が終わって教室でHRをしていた。

幸せなことに由とは同じクラス。

そして何故か由は左隣りの席。

ナ行の多いクラスだったらしい。

私と由の間には由を含めて7人居た。

6方に由が居て良かったと思う。

また…――

小学校の時と同じ思いをしたくない…――

そう思っていると担任の先生が自己紹介を始めると言い、生徒達の自己紹介が始まった。

そして私の番になる。

由と一緒に居た時の笑顔で

密かに練習して得意になったメイクも

ならべく明るめに言う。

そして一通り終わり休み時間になる。


少しは……普通の女の子って言う第一印象にはなったかな……?


そう胸のなかで思う。

しかし私はまた、小学校の頃と同じアヤマチを犯している。

でも私は気付いていない。

いや…気付きたくないんだと思う。

だから……気付かないフリをしている。

そして今、一人で窓辺に座り、空を見ている。


……この無垢な空の様に私も無垢だったら…


人間不信はちょっとやそっとじゃ直らない。

……自分自身の気持ちの問題もあるけどね。

足をプラプラ揺らしながら思い出す。

あるアーティストが作詞した曲。

確か……私と同い年…、13歳の子。

駅前で毎週水曜日に歌ってる子。

切ない声で悲しい顔で………楽しそうに歌う。

でも歌詞はやっぱり切なく悲しくて……。

でも暖かくなる。


「~♪~~~♪~~♪」

無垢な空に向かって鼻歌。

誰も聞いていない、誰かに届くか分らない鼻歌。

そこに少し…鳥の鳴き声

葉と葉が掠れて鳴る音が入る。

でも……この歌に生命は吹き込まれない。

私が歌っても………

……あの子ならきっと、吹き込まれるんだろうな……。

ふと思い、鼻歌をやめる。






「…なんで歌うの止めるの?」






その声に振り向く。


その子は……私が憬れる様な女の子。

……いや、憧れじゃない。

だって普通の女の子

………凄く綺麗なこと以外は。

その子は窓辺の私の隣に座る。

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