傷の行方
「先生?掃除したくないんでしょう」と笑い


「モップかけしなきゃ、ほら」



と言ってモップを渡した


教室は静まりかえっていた



私は黙って帰った



その数日後担任が私を呼び出した


「あれはわざとじゃないよな?」と言った


私は「まさか!当たってしまったんですよ


ごめんなさーい」と笑って言った


「お前を信じる」と言っていた



何が「信じる」だ



最初から具合の悪い


私を信じていれば



こんなことにはならなかったのに



と心から思った



人を傷つけて



なんの悪気も感じなかった



私はあの



中学の時から



涙を流していないことに気づいた


感情がどこかに行ってしまったのだろうか



そんな訳はない



泣いた日もあった
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