嬉涙

          ~楓~


校門を出たところで携帯を開いた、もちろん電話するところは翔のところ。

相手はワンコールで電話にでた。

「はい」久しぶりに聞いた彼の声があたしの心を軽くさせた。
「翔?あたし・・・」
「はッ!!か、楓?学校はどうした」

少し慌てた彼の声、それと同時に緊張の糸が和らいだ。

「翔に・・・会いたい・・・だから学校・・・抜けてきた」

相手はびっくりしたのか、そのまま固まってしまった。

「翔・・・会いたい・・・」
「・・・今どこにいる?」
「えーと・・・あ・・・翔の家の前だった・・・」
自分でも気づかないうちに翔の家に来ていたようだ。
翔の家は学校からすぐ近くだから、歩いてもそこまで時間はかからない。

「はッ!!」

バサッという音と同時にカーテンを開ける音がした
窓の向こうから顔を出す彼は少し慌てた様子・・・

「ちょ、待ってろ!!」

荒々しく電話を切って、少しすると玄関の扉が勢い欲開けたれた。

「楓・・・」

彼は参ったっていうように髪をかきあげた。
「ちょっと待って!公園いこう」

そういってあたしの手を引いて歩き出した。





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