桜ノ籠 -サクラノカゴ-

朝をむかえた桜のそばで


 ♢
 

夢現つ
 
眠っているのに覚めている様な、覚めているのに眠っている様な……
昼も夜も、そんな感じだった。


目覚めた時に目にしたのが桜ではなくまだ慣れない天井で、

目覚めた場所が縁側でなく、まだ馴染まない布団というところで、
私はやっと、朝なんだ…と気付く。
 

しばらく、天井をぼんやりと眺め、次に縁側の方を見る。
 
まだ障子は開かれておらず、庭の桜は見えない。
 

私は、のそのそと布団から這い出し、障子を開いた。
 

目の前には今日も見事な桜、
見えて私は、安心する。
 

天気は薄らと曇りがかっていて、私は蒼空でなくホッとした。

蒼空は、どこまでも澄んでいて、どこまでも深く綺麗で、綺麗過ぎて、今の私には眩しすぎた。
 

桜の匂いと蒼空に酔ってしまいそうで、目が眩んでしまう……





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