桜ノ籠 -サクラノカゴ-

「今日の所は、帰るわ」

彼女はそう言うと、
椅子に置いておいた白いバックを手に取り、玄関に向かった。



「またね、青磁」


「もう用はないだろ」


青磁先生は、煙草に火を点けながら、冷めた口調で答える。



「私にはあるの」


彼女は私と目が合うと、微笑を浮かべ、

「またね。伽羅ちゃん」



浅葱色のヒールを履き、玄関から出ていった。







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