桜ノ籠 -サクラノカゴ-
青磁先生は、頭を拭いていた手を止めると、心配そうに私へと近付いた。


「伽羅ちゃん」

青磁先生は、優しく撫でる様に、私の濡れた髪を拭いてくれた。


パシ、

とっさに、
私は青磁先生の手を払いのけた。


「や、優しくしないで下さい!こんな風にされたらー…」

堪えていた涙が溢れ、止まる事なく流れ、零れ落ちる。

「頑張ってたのに、我慢してたのにっ…」


溢れる涙と感情で、自分でも何を想い、伝えたいのか、うまく言葉に出来ない。



「我慢?何を我慢してた?」


「分かりません!分からないんです!
…でも、何か…嫌でした。あの人が来てからの青磁先生は、嫌でした!」






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