桜ノ籠 -サクラノカゴ-

ー記憶の欠片ー 十六夜


ーー2years ago--

side 和季


 ♦

「青磁先生!」

見慣れた背中を廊下で見つけ、オレは声をかけた。


「お、一宮」

オレの声に応え、青磁先生は振り向き、立ち止まる。


青磁先生はオレのクラスの副担任。

歳も他の先生よりオレ達に近く、話しやすい。
生徒の兄貴的存在だった。


「青磁先生、オレさー、住所とか保護者が変わったんだけど、何か書類とか必要?」

「あ?あぁ…、前にお前が言ってた件か?」

「そ、オレ13年ぶりに妹と暮らしてんだ」


昨日や今朝のやり取りを思い出すだけで笑みが零れる。

妹・伽羅、可愛くて、ついからかいたくなってしまう。

反応がイチイチ面白いんだよな。



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