桜ノ籠 -サクラノカゴ-

あれ以来、
何度かウチに来てくれた事もあったけど……


ーーでも、
私の眼には、その時、何も映ってなかった。



苦しくて、苦しくてーー

泣いてばかりいた。



藤川家に移ってからは咲耶ちゃんの家から遠くなったこともあり、
しばらく会っていない。



咲耶ちゃんにとっては、
秋からずっと会ってないも同じ、かな……



朦朧とした意識の中、
悲しそうな、
ツラそうな、
咲耶ちゃんの表情だけは、覚えている。



帰ったら、
咲耶ちゃんに手紙を書こうかな。

読んでくれるかな……



ガタタン、タタン、

ガタタン、タタン…


電車に揺られながら、

そんなことを、考えた。




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