HAPPYBIRTHDAY-主役のいない誕生日-
君の誕生日を祝っているんだから。


「今日で19歳だね。おめでとう」


自分以外誰もいない中、僕はまるで1人ごとのように話し続ける。

明かりも付いていないこの部屋で……

僕はただただ……

「本当だったら僕たち今日で結婚してるんだよ……。君が許してくれたらだけどね」

一人、話し続けるんだ。

「あの日僕は……君にプロポーズするつもりだったんだ」

まるで隣に誰かがいるかのように……。

「今、気の弱いお前にそんなことできるのかって思っただろ?」

それでも聞こえてくるのは僕1人の声だけで……。  

「ねぇ、返事してよ?」


そんなこと言ってみても結局かえってくる言葉なんてあるはずもなく。


自分が余計惨めに見えた。




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