gangな恋
私の問い掛けに対して、和弥は動揺の色を見せずに少しだけ口角を上げた。
「いや、勉強しようと思っただけ」
カウンターにいる図書委員にも聞こえないくらいの小声だった。
和弥も図書室で勉強すんのか―――
なんて感心しながら和弥を眺めてたら、再び和弥が口を開いた。
「早く行ってやれよ。待ってんだろ?生嶋君が」
「…言われなくても行くし。……じゃあな」
何故か最後の「生嶋君が」のところが強調されて聞こえた。
なんていうか……嫌味ったらしい言い方―――
わっけ分かんねー和弥の奴。
和弥の態度に若干苛立ちつつ、あまり遅くなると怪しまれるから、私は急いで生嶋の後を追った。