gangな恋


私の問い掛けに対して、和弥は動揺の色を見せずに少しだけ口角を上げた。




「いや、勉強しようと思っただけ」




カウンターにいる図書委員にも聞こえないくらいの小声だった。




和弥も図書室で勉強すんのか―――


なんて感心しながら和弥を眺めてたら、再び和弥が口を開いた。




「早く行ってやれよ。待ってんだろ?生嶋君が」


「…言われなくても行くし。……じゃあな」




何故か最後の「生嶋君が」のところが強調されて聞こえた。


なんていうか……嫌味ったらしい言い方―――




わっけ分かんねー和弥の奴。




和弥の態度に若干苛立ちつつ、あまり遅くなると怪しまれるから、私は急いで生嶋の後を追った。

< 149 / 367 >

この作品をシェア

pagetop