雨音色

タマの口調は、とても力強かった。


反論する余地すら与えないその強さに、彼らはただただ圧倒されているばかりだった。


「今しかありません。


これが、最後のチャンスです。


そして、・・・ご主人様を目覚めさせる為にも」


タマの右手は、ぎゅ、と強く握られていた。


秋の温かい日の光が、窓から差し込んでいた。


その光の中を、埃がまるで光の妖精のように、


キラキラと輝きながら舞い踊っていた。


「・・・タマさん」


藤木が近付き、そして、深く一礼をした。


「決して、無理だけはしないでくださいね。


僕は、貴女にも、幸せになってほしいのですから」


その言葉に、タマは優しく笑って見せた。


「お嬢様の幸せは、私の幸せです」


窓の近くを、秋の風が、木の葉を載せて通って行った。


牧は、そんな2人をただ微笑みながら見つめているだけだった。

< 158 / 183 >

この作品をシェア

pagetop