濡れた体温ごと奪って-Ⅱ-
あっ、あれは翔ちゃんっ!!
翔ちゃんは私に気付いたのか、ツカツカとこちらへ向かって歩いて来る。
他の人達は非常用出入口から外へと、出て行った。
「紗耶。どうした?」
「…あ、翔ちゃん大切な書類忘れてたから…持って来たんだけど…」
「ああ。ありがとうな。今、緊急任務命令がくだされてな…海へ行って来るな」
「…う、うん」
「俺なら大丈夫だからな。心配するな。晩御飯楽しみにしてるな」
「うん。わかった」
翔ちゃんは私の頭を優しく撫でて、その場を後にし非常用出入口から出て行った…。