濡れた体温ごと奪って-Ⅱ-
私の気持ちとは裏腹に翔ちゃんはどんどん近づいて行く。
強盗犯のすぐ後ろについた時、私の足がカタカタと小さく震えた。
やだ…お願い…。
どうか…翔ちゃんに怪我がありません様に…。
「…なんだテメー」
「その鞄…渡せ」
「…う、うるせぇっ!!」
鞄を持って逃げ様とする強盗犯の目の前に翔ちゃんが立つ。
逆上した男は鞄を持ったまま右手で握られてる包丁を翔ちゃんへ向かって振り回してる。