濡れた体温ごと奪って-Ⅱ-
「私、お礼しないと、どうしても気が済まないんです」
「…そう言われてもな」
「私、なんでもしますから…その…連絡下さい…」
この女…色目使ってやがる。
俺の腕を抱きしめたかと思うと、胸を押し当てやがって…。
残念だったな。
前の俺なら、まあ、完全拒否はしないだろうが今の俺はあん時と違うからな。
女を無理矢理引きはがし、渡された名刺を突っ返してやった。
悪いが紗耶以外の女には、これっぽっちも興味ねぇ。