一匹狼と無邪気なワンコ

 狼の目を真っ直ぐ見つめたまま俺は答える。


「なーんも。よく薬を飲んでるって事くらいしか知らない」


「――そうか。最近は……そうだな、飲んでない」


 俺はこの言葉を信じるしかない。


 だって、俺と一緒にいる時は確かに飲んでいないのだから。


 心配させまいとしているのかは分からないのが悲しいところ。

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