幸せという病気

その夜、昼間に感じた妙な感覚を家まで持ち帰った武に、香樹が駆け寄ってくる。



「お兄ちゃんっ!元気になった!?」

「おぉ!香樹ぃ。ごめんなぁ心配したか?」

「うん・・・おばあちゃんも、すみれ先生も心配してたよ?でもすみれ先生がね?お兄ちゃんが起きたら元気付けてあげようねって言ってたぁ」

「・・・そっか。ありがとな香樹」

「うんっ。お兄ちゃん、今日はうちにいるのぉ?」

「おぉっ!一緒に風呂入るか!!」

「うんっ」

そのまま居間に歩き、祖母に「ただいま」と告げると、祖母は笑顔で武を出迎えた。

「おかえり武。ご飯食べるかい?」

「もちろんっ」

「香樹?ご飯にするから手を洗っておいで?」

「はぁ~い」

祖母が手を洗ってくるよう促すと、香樹は勢い良く手を挙げ、洗面所へ向かう。

すると祖母がそれを見計らい、武に小さな声で話しだした。


「香樹・・・心配してるよ・・・?あんた達の事・・・」

「ん?」

武がスーツを着替えながら聞き返すと、テーブルにおかずを並べながら祖母が続ける。

「子供は・・・ホントに優しいねぇ・・・どんな子も、同じように親や家族を心配する心を持ってる・・・みんな仲良しでいたい、愛されたいって・・・ひしひしと伝わるよ・・・それを見てるとねぇ・・・なんとしても守ってあげなきゃって・・・愛おしく思うんだよ」

「・・・あぁ」

「武・・・死んだらダメだよ?」

「・・・おぅ」

「おばあちゃん・・・何にも出来なくって・・・ゴメンねぇ・・・」

「何言ってんの。そんな事ねぇよ」

「出来る事ならね・・・代わってあげたい・・・」

「・・・ばあちゃん、ありがと」

武が祖母に礼を言うと、そこに手を洗った香樹が帰ってくる。

「洗ってきたぁ!」

「よーし。じゃあ食うか香樹」

「お兄ちゃんも手洗ってこなきゃぁ~」

「あ・・・そうだな。ちょっと待ってて」


武が手を洗い、三人は夕飯を食べ始めた。

すると、香樹が自分から学校の話をし始める。
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