幸せという病気
「まさか小さい頃に、竜司とこうやって星を見るなんて思ってもなかったけどさ、今日の光はなんだか今までと全然違う・・・この光はたった一回限りなんだよ?」



「そうだね」



「きっとなんか特別な一日なんだろうなぁ」



それを聞き、竜司の中にある幸せの一つの形が言葉になろうとしていた。

そして、竜司は上を見上げたままそれを解き放つ。



「遥が・・・小さい頃から、今まで込めた願いも、悩みも全部・・・俺が受け止めるよ」



「・・・うん・・・ありがとう」



「だから、これからは、二人で一緒に願お?」



「うん」



「じいちゃん、ばあちゃんになっても・・・一緒に・・・」



「・・・」



「一緒に俺らの幸せ・・・ずーっと願い続けよぉ」



「うん」



「したら、何年先も、何十年先も・・・俺達はずっと幸せだよ」



「そうだねっ」



「一緒に幸せになろうね、遥」



「うんっ。ありがとぉ竜司」


その光景は、空に広がる幾つもの星が、願いの奇跡を届けているようだった。


次の日、二人は籍を入れる。


そして幸せ病との戦いは、局面を迎えようとしていた。
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