龍の女神となるべき姫【上】
そんなことを考えていると、いつの間にか目の前には立派な扉。
わざわざ案内してくれたんだから、失礼なこと思っちゃ駄目だよね。
『ありがとう。すっごく助かった』
いや、まじで。
「いいよ。またね」
私はしばらく扉の前で、去って行った男の子に癒されていた。
だって、入ってしまえば本当に面倒くさいんだもん。
……なんて、ずっと言ってもいられないしね。
―――コンコン
『失礼します』
私だって、ノックする常識くらいある。
名乗ることまではしないけどね。
「おぉ、亜美。よく来たな」