龍の女神となるべき姫【上】


「あ、そや。聞いたで、悠基。
愛歌[アイカ]さん、パリから帰国したんやってな」




―――ドクッ




『あいか……!?』




心臓がドクドクと波打つ。




秋都と悠基の会話に口を挟むつもりなんてなかった。



でも、たった1人。


この人の名前を私が聞き逃すはずがない。



いや、聞き逃しちゃいけないんだ―――




でも、駄目。



今近づいたら、私は壊れちゃうかもしんない。



強くなろう、って思ってすぐに、この人に近づくなんて思いもしなかった。



私は、まだ全然強くなっていないのに。




だけど、秋都の言うあいかさんが、私の思う愛歌さんだとは限らない。


< 301 / 303 >

この作品をシェア

pagetop