あたし、脱ぎます!《完》


淳平くんを
初めて見たのは、

入学してすぐのことだった。




中学から
一緒だった佳代と
廊下を歩いていると、

「よ!!佳代!」と

声をかけて来る
三年生がいた。


面倒臭そうに
「何?」と答える佳代に、

その男子は、
「何だよ。
その言い方!

お兄は悲しい!」と

めそめそと泣く振りを見せた。


その時、
「あ! 理くん?!」と
脳がフル回転し、

中学の頃が蘇った。 


坊主頭に
ハニカムように笑顔、
佳代の兄、理(オサム)くんだった。


数年ぶりに会う理くんは
ワックスで
凹凸を出した無雑作ヘアで、

右耳には
ピアスを光らせていた。

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