あたし、脱ぎます!《完》


沈黙だけが
流れるテーブルで、

時間だけが流れて行く。



ワガママかもしれないけど、

別れるのも嫌……。


淳平くんの背中を
見つめていると、

ジワッと視界がぼやけた。


どんどん熱くなる目頭。


気がついた時、

涙がポロポロと頬を伝い出した。



「……淳平くん。

ごめんね……。

あたし別れたくない……」



淳平くんは
「え?」と振り返り、

慌ててあたしのとなりに
腰を下ろした。



「バカだな。
別れようなんて、
言ってないだろう?

突然泣き出して……」



頬を流れる涙を
指で拭いてくれた。


その指が温かくて、
優しくて……

また涙が溢れる。



「……ホントにごめんね。

あたしね、
ただ言えなかっただけなの……。

言うタイミングを外しちゃっただけなの……」



流れる涙が止まらず、
どんどん溢れて行く。


淳平くんは
「仕方ないなぁ」と

独り言のように呟き、

あたしの涙を指で拭くと

頭の上に手を置いた。






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