あたし、脱ぎます!《完》



日曜日の夜、

電車の中で
流れる景色を見ながら、

今後のことを考えていた。



あたしの大切なもの……。


仕事?


恋人?


家族?


友達?


もちろん皆、大事。


選ぶことなんて出来ない。



でも
仕事が忙しくなると、

恋人にも友達にも会えなくなる。


今年の夏は
家族で出かけることもなかった。


お母さんは
フラダンスの合宿に行っていたし、

お父さんも
あたしのブログで大忙しだったから、

それなりに
満足していたみたいだけど……。



ケータイを取り出し、
淳平くんと
撮った写メを眺める。


学校の屋上で撮った
写メのバックに、

大きな青空が映っていた。



あたしは
山梨で生まれて、

山梨で育った。


このまま
高校を卒業したら、

東京に行くことになるんだろう。


山梨を離れることに
抵抗がないと言えば、

嘘になる。



あたしには、
どんな未来があるんだろう?



そう考えると、
何だか怖くなる

自分もいた。


今、
グラビアアイドルを辞めたら、
普通の女子高生に戻れる。


そしたら、
また淳平くんと
付き合うことが出来るかもしれない……。



あたしの中で、

ある選択肢が芽生えていた。

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