あたし、脱ぎます!《完》



真鍋さんの発言に
否定的な気持ちが込み上げ、

怒りにも変わって行く。



もう帰りたい。

東京に来るんじゃなかった。


あたしが
芸能界で出来ることなんて、

胸を
見せることぐらいなんだ。


否定的な気持ちは

悲しみにも変わり、

涙が出そうになる。



「……あ、あたし、

やっぱり無理です」



低い、
消えそうな声は

小さな反抗だった。



「そっか。

嫌なら仕方ないね…」と

真鍋さんが
ため息交じりに言うと、

お父さんは
「他のジャンルでは駄目ですか?」と
尋ねた。



「駄目じゃありませんが……。

グラビアから
スタートさせると、

知名度を上げることが出来ます。

もちろん
CMやドラマの
オーディションにも行ってもらうことになると思いますが……」



「私も
昔は武田久美子が好きでね。

貝殻を水着にした時は、
衝撃的でした!」



何故か
活き活きとした声を上げるお父さんに、

「僕もですよ!」と
身を乗り出す真鍋さん。



「あれは男の浪漫でしたね。

僕は
愛されるグラビアアイドルを
育てて行きたいと思っています。

だから
今は森下くるみをプッシュしています。

彼女は根性もあるし、
売れたい!!という熱意が凄いんですよ」



……また、
森下くるみかぁ。

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