女番長

里菜の笑顔には、特別な力がある。
たくさんの人を、幸せにする力。

そんな里菜の笑顔に、男子もイチコロなんやろーな。

「お姉ちゃん。今日は、これからどうすんの?また喧嘩行ってくんの?」

「うん。ちょっと里菜の顔見たくなって戻ってきただけやから。」

「そっか…。」

「ん?どうかした?」

「えっと…、その彼氏をお姉ちゃんに紹介したくて。今日、家に来るねん。」

「そっか…。うん、いいよ!お姉ちゃんに紹介して!」

「えっ…でも、お姉ちゃんみんなの所行かなくていいん?」

「ちょっとくらいやったらいいよ。そんなに時間かかる?」

「ううん!今呼ぶな!」


そう言って里菜は、電話をかけに部屋を出ていった。

「ふー…。何で姉妹やのにここまで違うんやろ。」

それから三分くらいたって、里菜が戻ってきた。


「もうすぐ来るよ。家も近いし…。」

「どの辺に住んでんの?」

「確か、鈴蘭高校の近くって言ってた気がするけど…。」


ピクッ

「鈴蘭高校…?」

確か、あの滝沢龍もその辺に拠点おいてるとか言ってなかった?
いや、まさか!
そんな偶然あるわけないし。


ピンポーン

「あっ!来た!!」

ガチャッ

「海君いらっしゃい!あがって。」


やっぱり…。
まず名前違うし、あたし何考えてるんやろ。

「お姉ちゃん、紹介するな!滝沢海(たきざわかい)君!」

"滝沢"…。

あたしの目の前に立った男は、あの滝沢龍に似た少し大人しそうな男やった。


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