向日葵《短編》


その涙は頬を伝い、汚く汚れた床に落ちていった。
俺は麻由の綺麗な涙を拭き取ってあげることが出来なくて、ただ立っているだけだった。



『いいの、ありがとう…気持ち…聞けて良かった…』


麻由は涙を拭き取り、俺を見上げ笑顔を見せた。

俺は何も言えず、首を横に振った。


『麻由の気持ちは嬉しいよ。ありがとう…』


『ふられちゃったけど、仲良くしてよね!』


麻由はこう言って、俺に右手を差し出した。
俺は『え?』という表情を見せる。
麻由は『ほら!』と言って俺の左手を掴んだ。



『これからもよろしく、ね?』



『…うん…』


麻由の手と俺の手がひとつに繋がられた。


その瞬間、廊下の電気が一斉に点いた。



『部活行ってらっしゃい!』


麻由はこう言って俺の背中を押し、バイバイと手を振った。
俺も麻由にバイバイと手を振って、美術室をあとにした。



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