秘密の花園




私の人生史上最低最悪の出来事があった日から早一週間。


リハビリにリハビリを重ねた結果。


ようやく私の心は平穏を取り戻しつつある。


もう二度と会わないであろうサタンのことは宇宙の彼方に押しやった。


それでも“幕末戦士~恋の百花伝~”をやるときは水瀬さんそっくりのソウイチさんを見るたびに胸がズキンと痛む。


傷口はかさぶた程度になっても完全に治ってはいないのだ。


傷口が傷むたびにゲームに没頭して、また思い出して、ゲームに戻る。


その繰り返し。


唯香などはあの日家に戻って以来、部屋に閉じこもりっぱなしの私を不審に思って、しきりに何があったのか聞いてくるけど、全部シカト。


私の意識は常に花園の中にある。


「うっしゃあ!!」


私は思わず喜びの咆哮をあげた。


“恋の羅針盤~磁石の行方~”が無事エンディングを迎えたのだ。


その瞬間、ぐ~とお腹が鳴った。


朝食、昼食を抜いて、一日中恋愛メーターを上げていれば当然だ。



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