秘密の花園
「朝帰りとは良い度胸をしているじゃないの?」
なんて、恐ろしい……!!
私の身体は恐怖でガタガタと震えた。
マイマザーはこれでもかというぐらい目を吊り上げ、髪を逆立てて、片手にはフライパンを装備していた。
フライパンの使い道についてはこの際、考えたくない。
頭の上に角が生えている錯覚まで見え始めた頃になって、ようやく私はもごもごと帰る最中に考えた言い訳を披露した。
「その……まみちぃの家に泊まってました」
「ほほーう……。真南ちゃんなら今朝方やってきてあんたの行方を尋ねて行ったけど?」
あの女、なんて余計なことを……!!
ママンの怒りは私の嘘を吸って、更に膨らんでいく。
背後に阿修羅まで見えてきやがる。
「こ、これには海よりふかーい事情がありまして……」
「じゃあ、その事情とやらを話して御覧なさい……」
ああ、だめだ。
酔いつぶれてサタンの家で一緒に寝ていましたなんて、口が裂けても言えない。
言ったが最後、二度と家から出してもらえなさそうだ。
私は潔く廊下に三つ指を立てて、土下座した。
「本当に……申し訳ありませんでした!!」
お母さんの怒りを解くにはこれしか道が残されていなかった。