秘密の花園

私、生まれ変わります!!


「うう……。ひどいっ!!酷過ぎるうううう!!」


「お姉ちゃん……いい加減泣き止みなよ」


床に突っ伏してさめざめと泣く姉を前にして、唯香は冷静だった。


「お母さん、すんごい心配してたよ?お姉ちゃんから何にも連絡がないから。まあ、最終的には開き直ってゲームを捨てていたけど」


「なんで止めてくれなかったの!?」


乙女ゲーがなければ生きていけない!!


私は鼻水と涙でぐちゃぐちゃになった顔を押し付けるようにして、唯香に訴えた。


もはや、八つ当たりである。


唯香は汚い私の顔を見て一瞬、うっと眉をしかめた。ティッシュを数枚とると、私の鼻に押し当てる。


「止めらんないよ……。お母さん、阿修羅と化していたし」


「そんなあ!!」


私に残されているのはカバンに入っていたために難を逃れたポータブル花園、もといジンテンドーTSだけだった。


こんな小さな花園ではとても満足できない。


魔王にやられて瀕死状態の勇者には、花園の癒しパワーがどうしても必要だったのに。


こんな仕打ち、あんまりだ……!!


涙は滝のように溢れ出て、唯香の部屋のカーペットに丸いシミを作っていった。


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