秘密の花園


「生まれ変わろう!!」


「……は?」


おぎゃーと生まれて早20年。今更、どこをどう変えるというのか。


「もう、お姉ちゃんには逃げ込む場所はないんだよ」


「そうだけど……」


花園はママンによって壊滅に追い込まれた。


復旧作業にはお金と時間が必要だ。今の私にはどちらもなかった。


「これを機にこじらせ女子からステキ女子になろう!!」


「……す、ステキ女子?」


……おい、おい。そのステキ女子って単語はなんだよ。


昨今では○○女子やら○○男子っていうのが流行っているらしいが、唯香も世間の例にもれず○○女子ブームがきているらしい。


唯香は熱っぽく私の目を見つめて言った。


「この間の変身ぶりを考えたらお姉ちゃんにもできるよ」


唯香はうっとりと夢見心地に力説した。


あずなさんにもらったポラロイド写真を見せたところ、相当お気に召したようだったからそのせいだろう。


「……本当に?」

唯香があまりにも熱心に言うものだから、ちょっとその気になって己の顔を指差す。


お世辞にも美人とは言えない童顔で鼻水だらけのこの顔や、やぼったい服装と幼児体型がどうにかなるのか。


「大丈夫、可愛いは作れるから!!」


唯香はどっかから引っ張り出した、ファッション雑誌を片手に満面の笑みで答えた。


やる気だわ、この子!!


私の意思なんか関係ない。最初から私をオシャレ星人に改造したくてうずうずしていたに違いない。


……あれ?昨日も同じようなことを誰かに言われなかったけ?


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