秘密の花園

「一通り買ったな?」


「指示されたものは買ったけど……」


ファンデーションでしょ。頬紅でしょ。アイシャドウでしょ。マスカラでしょ。


途中から選ぶのが面倒臭くなって、お客様ランキング1位の商品を買いに走ったが、カゴの中にはきちんとサタンの指示通りの物が揃えられている。


「あとは、ブラシと替えのチップとビューラーぐらいだな。初心者ならこれだけ揃えておけば何とかなるだろう」


嫌な予感がしてきて、前を歩くまみちぃとサタンに恐る恐る尋ねる。


「……もしかして、私がやるの?」


「お前のメイクをお前以外の誰がするんだよ」


サタンは当然だろうと言いたげな冷めた目つきをしていた。


自分で!?


この何に使うか分からないカラフルな小物たちを顔面に塗りたくるのか!?


想像しただけで気が遠くなってくる。


「あとで、やり方は教えてやるから」


「そうよ。要するにオシャレは慣れなのよ、理香」


その派手なメイクも慣れの賜物なのか……?


確かにすっぴんのまみちぃと化粧をしたまみちぃは腐れ縁の私もびっくりの変身っぷりだけれど。


……多分、私は一生かかっても真似できそうにない。


泥棒メイクでテヘ★っとポーズを決める自分を笑わないようにするだけで精一杯だろう。


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