秘密の花園
「はい、とっととこれに着替えてきなさい」
まみちぃは私に買ってきた服を手渡すと、有無を言わさずトイレに押し込んだ。
こういう時は黙って従うが吉だ。
さもなければ、唯一の仲間もまみちぃの手によって消去されてしまう。
私は言われた通りとっとと着替えを済ませると、化粧品を物色していたやつらの元に戻った。
「さあ、始めますか」
まみちぃは腕まくりをしながら、さも楽しそうに言った。
ヘアバンドをつけられて、化粧水と乳液を塗られて、顔をマッサージされる。
メイクをするのはまみちぃ。アシスタントは唯香だ。
「じっとしていなさいよ」
「うひょ」
頬やら額を上下にぐにぐにもみもみされると、痛気持ち良くってつい変な声が出てしまった。
「説明しながらやるから、ちゃんと使い方とコツを覚えなさいよ?」
「はーい」
呑気にしていられるのはそこまでだった。
私はこれから小一時間、矢継ぎ早に繰り出されるオシャレ単語を聞き漏らすまいと、頭をフル回転させることになった。