秘密の花園




「ふう…お腹いっぱい。御馳走様」


律儀に手を合わせるくせに礼は言わないのかよ。


「私の400円…」


おやつが…。
一口しか食べてなかったのに…。


ラウンジに私の呟きが虚しく響く。


「まあ、授業料だと思いなよ」


まみちぃはグロスを塗った唇の端を上げてにぃっと笑った。


板垣真南はこういう奴だ。


いつも要領よく物事をこなしていく。


勉強も食事も。


…男も。



今までまみちぃが手のひらの上で転がしてきた男の数と言ったら、片手じゃ足りない。


リアル乙女ゲーを体現しているようなもんだ。


なんでそんな奴と仲良しかって?


…幼なじみなんだよ。小中高大と、腐れ縁。




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