秘密の花園

「ほら、私って昔からひとつのことにしか意識が向かないタイプでしょう?」


「猪みたいな女よね、あんた」


誰が、猪だ。誰が。


まみちぃの言うことがあながち間違っていないからなおさら困る。


「前はそれでも良かったのになあ……」


花園の中だけを駆け回っていれば誰にも迷惑かけることなんてなかったのに。


うっかりオシャレ星人に外に連れ出されて、いつもの調子でふらふら歩いていたら落とし穴に嵌った。


ただし、サタンも道連れにしてしまったわけだけど。


ええ、それは見事に。


「大丈夫かなあ……」


お店は一体、どういう状況なのだろう。


サタンに髪を切ってもらうのを楽しみにしていたお客さんも、もちろんいたわけで。


突然休みになってしまって残念だろうなと想像するのは難しくなかった。


サタンってば口は悪いが腕は良いもんだから、わざわざ指名する人もいるくらいだ。


これがカリスマの力なのかと私はひたすら感心したもんだ。


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