秘密の花園

「エントリーナンバー3番、矢上嵐子です」


嵐子は自分の得意分野であるファッションで自己PRだ。


マネキンを相手にストールの簡単アレンジ術を披露する。


「こうやって端の部分を結ぶと、よりエレガントな印象に変わります」


嵐子の手によって、一枚のストールが次々と形を変えていく。


紙面に出ているだけあって固定ファンもいるのだろう。


これがなかなか受けている。


相槌を打ったり、頷く観客も多い。


悔しいことに、私もなるほどと思わされる部分があった。


「エントリーナンバー3番、矢上嵐子さんでした」


自己PRの持ち時間5分はあっという間に終わった。


っと、いけない。


呆けている場合じゃなかった。嵐子が終われば、次は私の番だ。


「続きまして……エントリーナンバー4番!!原田理香さんです!!」


私は嵐子とすれ違うようにして、ステージの上に飛び出した。

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