秘密の花園

「……頑張れよ」


サタンの口から出たとは思えない励ましの言葉に驚いて目を開ける。


サタンは真剣な表情で唇にグロスを塗っていた。


思えばこんなに至近距離で、顔を見たのは初めてだった。


「自信を持て。お前は俺の最高傑作だ」


目を開けていることに気が付いたサタンがニヤリと口角を上げて笑う。


「それってどっちの意味よ」


滑稽っていう意味の方?素晴らしい作品っていう意味の方?


「両方だよ」


平凡な私に魔法がかかる。


付け焼刃で身に着けた女子力など、魔王の前では子供騙しだったことがよく分かる。


……ヘアメイクは完璧な仕上がりだった。


「行けよ。応援してやるから」


「うん、行ってくる」


私はドレスの裾を手で摘まんで、ドスドスと歩き出した。


見てろよ、オシャレ星人ども。


吠え面かくなよ、毒モ。


うちの魔王様は、最強なんだからね!!

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