秘密の花園
「誰かを滅したいほど憎いなら、この本がオススメだよ」
店長は人の良さそうなメガネ顔をしておきながら、とんでもない本を薦めてきた。
赤い布張りの表紙に金色の文字が眩しい。
『世界の毒草500選』
つまり、一服盛れと?
「オススメは356ページだよ。日本で簡単に手に入るから」
ハイっと棚から出された厚さ10センチの『世界の毒草500選』が渡される。
こんな本が普通にあるなんてこの本屋、絶対潰れる。
店長が鼻歌混じりに棚の整理を始めたのをみて、早めに次のバイトを探そうと心に決める。
とりあえず金色のキノコより犯罪者になりたくないで、『世界の毒草500選』はソッと棚に戻しておいた。