秘密の花園




「ゲームもほどほどにしないと彼氏できないよ」


「いいよ。そんなのいらないもんねー」


パッケージのキャラクターに向かってチュッとキスを贈る。


唯香がきもっ!!っと小さく吐き捨てるように言ったのを私は聞き漏らさなかった。


三度の飯より乙女ゲー好きの私に現実世界で彼氏ができるとはとうてい思えない。


自他共に認める恋愛シミュレーションゲームマニア。


私、原田理香の半分は二次元の男の子でできています。

…某医薬品のように。


この秘密の花園は何人たりとも侵せはしないのだ。


土足で踏み荒らした輩には制裁を。


制裁を…。


私はそろりと唯香の背後に回り、音もなく腕を振り上げた。



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