秘密の花園




「あります!!あります!!むしろどうかやらせてください!!だから水瀬さんには乙女ゲーのことは言わないでくださいぃぃぃ!!」


半ばヤケクソになって叫ぶ。弱みを握られている立場ってやっぱり不利だ。


「乙女ゲー?ああ、奇妙なあのゲームか。純もとんでもないやつに好かれたもんだな」


サタンがニヤリと意地悪く笑う。


小馬鹿にされているみたいでムッとする。


「ちょっと!!私のことをバカにするならともかく、乙女ゲーまでバカにしないでよ!!」


思わず声を荒げて反論していると店員さんがやってきて、注文の品を置いていった。


サタンはムキになっている私のことなど相手にせず、コーヒーを一口飲むと言った。


「あんたも飲めば?」


グッと言葉を飲み込む。確かに濃厚な豆の香りが鼻をくすぐる。サタンは憎いがコーヒーに罪はない。


「いただきます」


カップを持ってコーヒーを啜る。


一口飲んだ瞬間、驚愕する。


口いっぱいに広がる香ばしい苦味といい、この匂いといい…。


なにこれ激うま!!


本物のコーヒーってこういう物なんだと感心してしまう。



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