王子様の秘密-上-



「…え?」



頭をかきながら部屋に入って来た成弥のお兄さんは、私を見て、驚いたようにその手が止まった。



「…は?女?」



成弥と優太君は似ているのに…

お兄さんは全く二人に似ていなかった…


私は驚いて、言葉が出なかった。


ゆっくり近付いてくる成弥のお兄さん…


え?

あ?あれ?


なんで!?


気付いたら、私はお兄さんに抱きしめられていて…

危険なんじゃないか…と言う焦りが出て…



「ちょっ…あの!!」

「……………」

「す、すみませんっ!!
放してください!!」

「……………」



いくら言っても放してくれないし…

押しても男の力には敵わなくて…


え!?


気のせいか、お兄さんの手が私のお尻に…



「や、やだっ…」

「……………」

「なっ成弥!!」



頭は真っ白で…


とっさに成弥の名前を出してしまった。


彼に聞こえているのかも分からない…


でも、成弥なら助けてくれると思った。



「なっ成弥ぃ…!」



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