王子様の秘密-上-



美沙子さんと慎吾さんは仕事。

大介さんは大学。

優太君は部活。


いるのは、私と成弥の二人っきり。

成弥はまだ半分寝ているし、男の子の部屋でベッドの前。


きっと、普通に考えれば、非常に危ない状況。


今すぐ逃げたいくらいだけど…



「成弥ぃ~」

「…うっせぇ」

「起きてよ!!
いつもちゃんと起きるくせに!!」



なんで今日はこんなに寝てるの!?



「休みくらい寝かせろ、バカ」

「ばっ“バカ”!?」

「あー、言ったよ、バーカ」

「ひどいっ!!
成弥はバカが口癖なの!?」

「あー、うん、きっとそうなんじゃね?」

「信じられないっ」



いい加減に起きろーっ!!

と、言おうとしたとき、急に成弥が起きた。



「え?成弥?」

「なに?
起きちゃ駄目なわけ?」

「あ、いいえ。
えっと…おはよう?」

「ん、はよ」



ほどよく寝癖のついた髪を手で撫で付けながら言った。


なんか…

なんか…

成弥がかわいいです!!


眠そうに潤んだ瞳で私を見る成弥に、キュンとしてしまった。



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