薔薇の棘と黒いかまきり【短編】


私がはなせば、


「やっぱりかまきりのはなしはいつきいても面白い」


そう言ってくれるのだ。



ただの風邪。


そう思うのに、やはり病状は悪化するだけだった。



このまま死んでしまうのではないか、
そんな考えが頭をよぎって私は涙を流しそうになる。



もし薔薇の姫がいなくなったらどうしよう。


私はもとの生活にもどれるとは思えなかった。
< 31 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop