薔薇の棘と黒いかまきり【短編】


私は首をふる。


違うの、私死ぬんだもん、わかるの。


「わからずや。さびしいなら薔薇をみなさい。私は薔薇に生まれ変わるから」



「死なないよ。君はまだ死なないよ……」


「ねえ、これいじょう言わせないで。声をだすのも苦しいんだ」

「それなら君はしゃべらなくていい、私が楽しいはなしを聞かせてあげるから」



わからずやなのね。




「おはなしなんてききたくない……かまきり……苦しいよ……早く……お願いだから、お願いだから首をきって、あなたのほんとの姿をみせて」
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