妖魔０４～聖域～
独り言を呟いていたところで、秋野の代わりに冬狐が立っている。

「秋野の事を知っているか？」

「そこそこには、ね」

「あいつは何を企んでいる？」

「興味ないわ。それに、同じ組織にいる君のほうが詳しいでしょう？」

本当に知らないかもしれない。

例え、友達だったとしても、自分のやっている事を喋る女ではないか。

「妙な探りは入れないほうがいいんじゃない？」

「解っている」

妙な真似をすれば首が飛ぶ。

秋野の周りに漂っていたニオイ、侮れん。

他にも妖魔の首を狙っている退魔師もいる。

緊張は緩められないな。

「いい訓練になりそうだ」

「楽しそうな顔しちゃって、これだから原始人の脳みそは困るのよ」

「楽しい？バカなことを言うな」

他人からはそう見えたかもしれない。

だが、内心はどうしようもない焦燥感で満たされている。

「何にも囚われないお前には解らないさ。今の状況がどれだけ苦痛かがな」

一筋の光明があるのなら、すぐにでも見つけてやる。

そして、世界を変えてやる。
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