妖魔04~聖域~
日本なら妖魔の里があるし問題はないかと思っている。

だが、妖魔の里の位置が把握出来ていない。

美咲や冬狐に聞くことが出来れば、すぐにでも仕事も寝床も見つかると思うけどな。

時計を見ると、午後十六時。

夕刻時であり、辺りは赤く染まっている。

まずは龍姫達の下へと移動して、今後の事を決めなければならない。

ビルへと向おうとしたが、ロベリアが服の袖を引っ張る。

「どうした?」

「王子様、生を摘む刃がいる」

少し離れた場所に、百六十五センチくらいのセミロングの女の子が立っている。

御堂学園の制服を着ているところ、生徒だろう。

見覚えのある女の子だ。

「瑠璃子か?」

思い出の中の姿から成長している。

懐かしいが睨みが肌に突き刺さる。

「見知らぬ奴に名前で呼ばれる覚えは断じてない!」

「そっかそっか。瑠璃子は赤坂の学校に入ってたんだな」

「人の話を聞け!」

いつの間にか短刀を逆手に持っている。

「お前、自分の刀はどうしたんだ?」

瑠璃子は話す意思はないようだ。

「まったく、お前も話を聞かないじゃないか」

「丞は女に好かれてるアルなあ。アチシにも紹介するアル。それで、後でアチシと一緒に味を占めるアル」
< 193 / 330 >

この作品をシェア

pagetop