妖魔04~聖域~
「それも悪くないが、今のお父さんじゃちょっとな」

話している時間が長かったのか。

向こうから、千鶴が買い物を済ませて走ってくる。

「じゃ、ちゃんと笑顔にしてやるんだぞ」

千鶴の父親は去っていった。

「ち、面倒くせえ」

退魔師の中にも適当なのがいると解った。

どっちかといえば、殺りあった女のほうが解りやすくていい。

「すいません。お待たせしました」

千鶴が来てなければ、戦闘を始めていたかもしれない。

千鶴から渡されたから揚げのパックは熱い。

遅くなったのは作っていたからなのだろう。

「商店街のスーパーの唐揚げは評判いいんです」

「そうか」

パックをあけて、唐揚げを口に含んだ。

「アツ!」

熱いと解っていて、丸々一個口の中に放り込んでしまった。

燕の馬鹿が移ったのか?

「猫舌、なんですね」

「く」

狼の俺が猫舌とは、不覚。

しかし、よく考えれば恥ずかしい事でも何でもない。

何にせよ舌が痛い。

「これ、飲んでください」

手渡された物は、ゲルパワー一万馬力。

舌を休められる物があるのならば、何でもいい。
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