【詩集】タイムマシンの作り方

勇者


小さな箱が魔法の杖
開いたリストから適当に選んで
言葉で固めた呪文を囁く

ほら、トモダチ召喚!

一緒に歩いてくれないけど
呼べば来るからトモダチ


とってもとっても
強くなったけど
まだ勇者に仲間はいない


大きな宝箱も王様のご馳走も
一人じゃ開けられないの
一人じゃ食べきれないの


夜の砂漠に響く足音
淋しくなっても杖は圏外
召喚魔法は使えない

ああ、かみさま

力なんかいらないよ
魔法もお金もいらないよ

ただ 暗い夜道で
手を取ってくれる仲間がほしいよ

ひとりきりの勇者は気付く

言葉で固めたヨロイを
脱ぎ捨てる選択肢

にげるじぶんをすてますか?
ひとりはいやだといえますか?

震える声で
世界が変わるような




【本物の勇者?】





「ひとりで大丈夫」な人が
強いってわけじゃない



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