PRINCESS story

兄さんの部屋に着くと、兄さんは俺に背を向けながら言った。


「奏斗はさ、琴葉ちゃんのことどう思ってる?」

「えっ?」


琴葉のことを聞かれるなんて思っていなかったせいで、すぐには答えられなかった。


「すぐに答えられないってことは、別にどうも思ってないってことか?」


「いや、違うよ。琴葉は大切な存在だよ」


「それは……愛してるってことか?」


愛してる…?

分からなかった。


どこからが愛してるっていうのか。

どんな気持ちが、愛してるということなのか。


ああ、そうか、俺は、本当の愛を知らないんだ…


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