PRINCESS story
「どうかした?」
「ううん、なんでもない」
ほら、またこうやって俺には何も教えてくれない。
「何かあるなら、言って欲しい。
いつも、大丈夫、なんでもないって言う琴葉を見てると、何を考えてるのか分からなくて不安になる」
俺の言葉を聞いて、琴葉は少し躊躇しつつ言った。
「でも、もし今、私が考えてたことを言ったとしても、奏斗のこと困らせるだけだと思うし」
「いいよ、困らせたって」
すると、琴葉は俺の目を見て言った。
「………帰りたくない」